●にんにく【紀元前から世界の人々のパワーの源】
にんにく:GARLIC
●PROFILE(どんなもの?)
にんにくはユリ科のネギの仲間ですが、日本でも古くから健康食品としてあるいは強壮食品としてなじみのある食品です。
世界的に何千年も前から健康によい食べ物の代表として愛され食されており、エジプトのピラミッド建設はにんにくのパワーによって成し遂げられたというよく聞く話もあります。
にんにくには20種類近い成分が発見されていますが、代表的な成分としてはにおいの元になっており、ビタミンBの吸収を助けるアリシン、においはないが、栄養素の燃焼によるエネルギー代謝を活発にしたり、善玉コレステロールを増やす働きがあるとされるスコルジニン、アリシンの分解産物で抗菌作用があり、ピロリ菌に効くとされ、また血液をさらさらにする作用があると言われるアホエン、そしてインターフェロンという体内の抵抗力を高める物質の産生を促すゲルマニウムなどがあります。
にんにくはまた古来強壮剤としても多くの男性に愛されてきました。
その根拠はよくわかりませんが、神経の伝達がよくなったりホルモンの分泌にもよい影響を与えるのではないかなどが推測されています。
●EBS(科学的根拠は?)
にんにくの主な作用についての興味ある研究報告をピックアップしました(時々新しい情報を追加します)。
作用 | 研究報告のポイント | 著者・文献名 |
抗菌作用 | 培養皿の肺炎球菌の成長をにんにく抽出物が阻止したという報告(1)やある種類のネズミにんにく抽出液を何週間も与えたところピロリ菌によって誘発される胃炎の発生が減少したという報告(2)などがあります。 | (1)Dikasso, D Lemmaほか:Ethiop-Med-J. ; 40(3): 241-2002 (2)Iimuro, M Shibata、ほか:Cancer-Lett. ; 187(1-2): 61,2002 |
抗血小板作用(血液サラサラ効果) | 試験管内の実験で、生にんにくの抽出物は生玉ねぎの抽出物よりもウサギの血小板の凝集を阻害する力が強く、ヒトの血小板についてもにんにくによる凝集阻害作用が認められたという報告があります(3)。
にんにく抽出物を長期間飲んだコレステロールのやや高い男性群は、プラセボ(偽薬)を飲んだ群より、血小板のフィブリンへの付着力が減少したという報告があります(4)。 | 3)Ali, M Bordia, T Mustafa, T:Prostaglandins-Leukot-Essent-Fatty-Acids;60(1:43,1999 (4)Steiner, M Lin, R S:J-Cardiovasc-Pharmacol. ; 31(6): 904,1998 |
脂質への作用 | にんにく抽出物が、活性酸素を退治して脂肪の過酸化を防ぎ、その結果LDL(悪玉コレステロール)の酸化を抑制する作用が試験管内で認められたという報告があります(5)。 高コレステロール血症の患者にガーリックパウダーかプラセボを何週間も飲ませ、両群を比較した二重盲検比較試験(医師も、患者も飲んでいるものが分からないようにした比較試験)では、コレステロール低下作用に差はなかったという否定的な報告もあります(6)。
したがって、メバロチンのような薬と同じコレステロール低下効果を期待するのは期待過剰というものです。 | (5)Dillon, S A Burmi, ほか:Life-Sci. ; 72(14): 1583,2003 I(6)saacsohn, J L ,ほか:Arch-Intern-Med. ; 158(11): 1189-,1998
(二重盲検比較対照試験) |